
終の住処ってどう考えたらいいの? 執筆:太田垣章子(司法書士)
2025.12.4




乳飲み子抱えて離婚。働きながら勉強し36歳で司法書士に。住まいを中心とした終活サポートを20年 以上実施。人生後半戦を安心して過ごせるヒントを広めるために、執筆や講演だけでなくテレビやラジオ出演など活動の場を広げている。最新書籍:最後は誰もがおひとりさまのリスク33
人生100年時代になって、後半戦がとても長くなりました。その分、家選びが難しくなったと思います。
アベノミクスでは低金利やフルローン、長期間ローンを組めるというメリットを活かして、不動産を購入する年齢も下がりました。こうなると買った不動産に最後まで住み続けるというのは、築年数的にも厳しくなるかもしれません。年数が経てば、大規模修繕は当然にして必要となります。金利の上昇に加え、工事費も上がってきているので、当初の予定より負担が増えてきています。
今の時代は、現役世代の家と人生後半戦の家を別々に考えた方が良いと感じています。
私が司法書士になった頃、1棟のマンションの登記を経験しました。その時に面白いなぁと感じたのは、年齢と不動産購入に対する考え方です。
「家賃を払うのがもったいない」という安易な発想の人もいれば、若い夫婦がペアローンでマックス借りるケースもありました。年収が低くても「ローンが組めたから」と不相応に高い部屋を購入する姿もありました。見ている私の方が、この人たち破産予備軍かも……と不安に感じたほどです。
そんな中で属性の非常に高い50代後半の男性が、60㎡ほどの小ぶりな2階の部屋を選び、借入額が僅かだったので、私は逆に気になりました。家族はご夫婦と子ども2人の4人家族。勤務先も超一流で年収も高かったので、もっと高額で広い部屋を買えばいいのに、ひょっとしてケチ?なんて単純に思ったのです。
好奇心からヒアリングすると、男性はあと数年で上場会社を定 年退職。息子たちが小さい間は、彼らの学校を優先するために会社の家賃補助を利用して賃貸住まい。そんな子どもたちも数年で独立するから、夫婦で住むためのコンパクトな部屋を購入。低層階を選んだのも、万が一の震災等を考慮して階段でも上り下りしやすいから。頑張ればキャッシュでも買えるけど、金利も安いからローンを組んだとのこと。
ここからの人生は、それほど何かに左右されて想定外の高額出費はないと確信しての購入です。老後は年金と預金で悠々自適。戸建ても好きだけれど、旅行三昧したいからセキュリティーを考えてマンションを選んだということでした。
あまりの堅実さに、私の「ケチ」という甘い考えは一瞬で吹っ飛ばされました。
この時に感じたのです。
不動産を購入する際には、目先ではなく、総合的に考えていく必要があるのだってことを。
先にも述べた通り、若くて現役世代の家と後半戦の家は、状況も求めるものも違うので別物と考える方が安全なのでしょう。
もし住み替えるとするならば、60代がベスト。70代になってしまうと、気力、知力、体力ともに衰えてしまいます。よほどの外部のサポートがない限り、なかなか転居はできません。特に移住を考える人は、移ってしまってから「こんなはずじゃなかった」を避けたいもの。早い段階から足繁く通って「泊まっていけば」と言ってもらえる知り合いを作っておいた方が無難です。
では、人生後半戦を楽しく過ごすための終の住処、具体的に検討していきましょう。
⒈あなたが人生後半戦で求める幸せはなんですか?
若い頃は仕事で自尊心を満たし、やりがいを感じることもあるでしょう。一方で仕事はお金を得る手段と割り切って、趣味に没頭することもできます。
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